Silver ray

2023年07月01日

1人用フリー台本。 


別れがあるから、出会いは美しい。

いつか君が言っていた言葉を思い出す。

少し肌寒い星空の下で、遠慮がちに私の手を繋いで笑っていた君を私はもう思い出せない。

一年という時間はあっという間で、それでいてとてつもなく長い。

目まぐるしく流れる時間の中で、君の輪郭をぼやけさせてしまうくらいには。

何気ない時間のふとした瞬間にいたはずの君なのに、朧げな君を抱きしめることすらもうできない。

会いたい、と。

一人その場に立ち止まってしまえば、紡いできた二人の時間さえなかったことになってしまうから。

ねぇ、今日は晴れたね。

そこからも、私が見えているかな。

いつか私が天(そら)に帰る時、その輝きのほとりまで迎えに来てね。

それまでは、一年に一度ここから見上げるこの星空だけが、私とあなたを繋ぐただ一つの思い出。

空一面に架かる、白銀のグラデーション。


Silver ray 2022.07.07

©きぃ( 𝕏:@sp_key_ )
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