幼馴染み特権

2023年06月01日

2人用フリー台本。 男女ペア作品

バレンタインデー

語り:女


朝…玄関のチャイムを鳴らして、招き入れられた家の階段を早足で登る。

これは誰にも譲れない、私だけの特権。

男「おう、おはよう」

女「あっれぇ…今日はもう起きてたんだ」

男「なんだよ。人を1人で起きれないラノベの主人公みたいな設定にすんな」

女「実際そうじゃん。私が何年、あんたのこと起こしに来てると思ってるの?」

男「別に頼んでねーよ」

ついでに何年、片想いしてると思ってるんだ。馬鹿。

男「とにかく今日は別々に学校行こうぜ。生まれたときから家が隣で、高校まで一緒なんて…腐れ縁も困るよな」

それは私が裏から手を回して合わせたからで!…と言いかけた口を慌てて閉じる。

男「見てろよ。今年こそバレンタインのチョコをもらって、可愛い彼女を手に入れるからな!」

女「はぁ…ほんとあんたって馬鹿。はいはい、精々頑張ってね」


《学校のチャイム》

男「なんで…なんで俺はチョコの一つももらえないんだよ…」

女「まぁ、今日一日1人で登校したところで毎日私と登校してるのバレてるじゃん?」

男「はっ?確かに…!」

ついでに私の気持ちもあんた以外にはみんなバレてるっつーの。

男「じゃあ明日からも別々で登校するか!俺は来年のバレンタインにかける!」

女「は…何馬鹿なこと言ってんの。…起きれないくせに」

男「それは…って、おまえ。何泣いてんだよ」

女「な、泣いてなんか…。泣いてない!」

男「つくならもっとマシな嘘つけよ」

女「うるさい、馬鹿…」

男「なぁ何があったんだよ。言ってみ?」

女「…私でいいじゃん」

男「は?」

《チョコの箱を鞄から取り出して、押し付ける》

女「チョコも彼女も…私でいいじゃん!」

男「おまえ…」

女「そりゃあ私は、ただの腐れ縁の幼馴染みかもしれないけど…この気持ちは本物だから…」

男「ははっ、なんだ。特別なチョコ、毎年もらってたんだな」

女「この歳まで気づかないなんて、本当に馬鹿なんだから」

男「ごめん。俺馬鹿だからさ…これからも一緒にいてくれる?」

女「あっ、当たり前でしょ!…幼馴染みなんだからっ!」


幼馴染み特権 2023.02.14

©きぃ( 𝕏:@sp_key_ )
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