幼馴染み特権
2人用フリー台本。 男女ペア作品
バレンタインデー
語り:女

朝…玄関のチャイムを鳴らして、招き入れられた家の階段を早足で登る。
これは誰にも譲れない、私だけの特権。
男「おう、おはよう」
女「あっれぇ…今日はもう起きてたんだ」
男「なんだよ。人を1人で起きれないラノベの主人公みたいな設定にすんな」
女「実際そうじゃん。私が何年、あんたのこと起こしに来てると思ってるの?」
男「別に頼んでねーよ」
ついでに何年、片想いしてると思ってるんだ。馬鹿。
男「とにかく今日は別々に学校行こうぜ。生まれたときから家が隣で、高校まで一緒なんて…腐れ縁も困るよな」
それは私が裏から手を回して合わせたからで!…と言いかけた口を慌てて閉じる。
男「見てろよ。今年こそバレンタインのチョコをもらって、可愛い彼女を手に入れるからな!」
女「はぁ…ほんとあんたって馬鹿。はいはい、精々頑張ってね」
《学校のチャイム》
男「なんで…なんで俺はチョコの一つももらえないんだよ…」
女「まぁ、今日一日1人で登校したところで毎日私と登校してるのバレてるじゃん?」
男「はっ?確かに…!」
ついでに私の気持ちもあんた以外にはみんなバレてるっつーの。
男「じゃあ明日からも別々で登校するか!俺は来年のバレンタインにかける!」
女「は…何馬鹿なこと言ってんの。…起きれないくせに」
男「それは…って、おまえ。何泣いてんだよ」
女「な、泣いてなんか…。泣いてない!」
男「つくならもっとマシな嘘つけよ」
女「うるさい、馬鹿…」
男「なぁ何があったんだよ。言ってみ?」
女「…私でいいじゃん」
男「は?」
《チョコの箱を鞄から取り出して、押し付ける》
女「チョコも彼女も…私でいいじゃん!」
男「おまえ…」
女「そりゃあ私は、ただの腐れ縁の幼馴染みかもしれないけど…この気持ちは本物だから…」
男「ははっ、なんだ。特別なチョコ、毎年もらってたんだな」
女「この歳まで気づかないなんて、本当に馬鹿なんだから」
男「ごめん。俺馬鹿だからさ…これからも一緒にいてくれる?」
女「あっ、当たり前でしょ!…幼馴染みなんだからっ!」
幼馴染み特権 2023.02.14