紫陽花の君。
2023年06月16日
2人用フリー台本。 男女ペア作品
女:ひな(演者のお名前に変更可)
≪雨音≫
女「あ、紫陽花…」
男「本当だ。青と赤の紫陽花が一緒に咲いてるなんて、珍しいね」
女「そうだね。…なんだっけ、紫陽花って土によって花の色が変わるんでしょう?」
男「うん。まるで、ひなみたいだね」
女「…それ、どういう意味?」
男「んー?俺好みで、可愛いなって意味」
女「(溜め息・小声)都合のいいように扱いやすいってことか…」
男「(甘い声)ねぇ、この後家行っていい?」
女「…今日、彼女さんはいいの?」
男「何?嫉妬?本当にひなは、可愛いな」
女「…あはは」
女『雨はいつだって、私の気持ちを隠してくれる。でも、それと同時に周りが何も見えなくて、どこにも行けない』
女「本当は…別の色に咲きたかったのかもね」
男「ん?紫陽花の話?可愛いじゃん、"青い"紫陽花」
女「そう…なんだけど」
男「(笑いながら)どうしたの?…俺のこと、嫌になった?」
女「そんなことないよ。ただ…」
男「じゃあいいじゃん。ほら、行こ」
女『手を振りほどけば、私はまたお日様の下を歩いて行ける。それでも、貴方色に染まった私はいつまでも抜け出せなくて…雨は今日も降り続いている』
紫陽花の君。 2023.06.16